Mar 2, 2007

2006 基礎ゼミ・レポート (2007.1提出) K.T.

K.T.さん

固定化したファッション志向

1.はじめに

それぞれの県では、地域によって 有名なものがいくつかある。その地の「名産物」といったものだ。私たちの身近な「神戸」でもそれはいくつかあげる事ができるだろう。例えば、「神戸プリ ン」、「神戸北野」、「神戸の夜景」で有名だ。その他に「神戸」といえば、「おしゃれな地」という印象が他の地にくらべて比較的強い傾向がある。そこで今 回、その名のごとくオシャレな地神戸、での最近の流行ファッションについて調べた。数年前から雑誌等の若者の間では「神戸系」という一つのファッションの 形態をとっており、神戸=「神戸系ファッション」という印象がある。それは、上品なファッション志向の事をいう。また「神戸系ファッション」同様なファッ ションスタイルをとっている地があるので、その地についても調べた。「名古屋」である。両者の共通点は、「エレガンス」志向な服装、そして髪型は「巻髪」 をする、という点にポイントをおいてファッションスタイルを確立している。

2.神戸

(1) 神戸人の気質と歴史
神戸はアパレル産業の他、ケミカルシューズ、真珠加工、貿易といった 周辺分野も含めたファッション産業を長く特徴的産業としてきた。また、国際貿易港の後背地として、いちはやく西洋文化を取り入れ発展してきた歴史がある。 このように、神戸は古くからの港町であったため、西洋文化(洋書、洋菓子、洋楽)がどこよりもいち早く手に入れる事ができた。このような背景を持った神戸 に住む人々は、どこの地よりもファッションに敏感で西洋化、近代化された上流気質が根付いており、ファッション分野だけでなく、色んな面でも昔から近代化 していたため、ハイソサエティな気質を持ち合わせているのだろう。
 
(2) 神戸系ファッションの流行
神戸 系ファッションというものは、2000年初頭に世間で取り上げていわれるようになった。しかし、それは親子代々から受け継がれてきたもので、2000年初 頭に急に開発されたものではない。西洋化、近代化した歴史的背景の下、他の地とは違った一歩進んだ上流意識が芽生え、上流な洋服を神戸(特に山手エリア) に住む富欲層の女性が好み、まとうようになった。上流な服とは、エレガント(上品)を基調としたスタイルだ。比較的ブランド意識の強い洗練されたファッ ションの事だ。ここ神戸ではそのような上流なファッションスタイルが存在し、今でもなお受け継がれている。それを2000年初頭から女性誌がこぞって「神 戸系ファッション」として取り上げた事を機会に全国的に流行し、着こなしの一つとして認識されるようになった。

(3) 2000年初頭からの神戸系ファッション
●上品 ●エレガント ●保守的 を軸に、2000年初頭からこの3つの要素を取り入れた神戸特有な洋服ブランド・ショップが現れた。例えば、クイーンズコート、VICKY、クレイサスと いわれるブランドだ。これは神戸発のブランドで上品、エレガント、保守的この3つの要素を基本とした、いわばОLスタイル、その特徴はワンピースはAライ ン、パステルカラーを中心とした上品なニットアンサンブル、スカートはタイトスカート、といった、コンサバスタイルだ。それぞれ特に変化はなく、多少のデ ザイン違いで基本デザインとしては、図3のようなデザインだ。

図1(「神戸系って?」http://www.kobe-np.co.jp/rensai/kobe/kobe2.htm)

図1 は、2000年初頭の神戸系ファッション特有の服装だ。神戸特有ブランド(クイーンズコート、VICKYなど)の保守的(コンサバ)な服を学生からОLま でみんなが揃いも揃って着る、その着こなし方は、ブランドバック(エルメスのエールバック、シャネルのバニティなど)と神戸特有ブランドの紙袋との二個持 ちをする、さらに足元は、カモシカのような足を演出するなどとして10センチ以上のピンヒールの靴を履く(神戸、名古屋などで多数の店舗を展開する、 COMEXなどのブランドが有名)というのが当たり前であった。髪型はもちろん巻髪が基本であり、ストレートな髪型だと偏見を持たれるというように当時 (2000年初頭)は全盛期であり、ファッションスタイルがこの保守的ファッションに固定化していた。

現在でもこの固有化されたファッションスタイルはまだ残存しており、世間ではこの神戸特有スタイルをもっと全国に広めようと様々な動きが見える。例 えば、神戸系ファッションを見にまとい、雑誌に掲載され紹介する大学生、「読者モデル」といわれる若者の力で、新たなブランドショップを作ったり、雑誌等 がその読者モデル達をキャラクター化し、売り出すなどといった動きだ。そのキャラクター化された、いわば神戸のファッションリーダー、となる三人組 (JAM)が現在有名であろう。彼女達は自分達自ら、ブランドショップを立ち上げ、自ら雑誌に載り、服を売る。彼女達のチーム名「JAM」は、それぞれの 名前の頭文字を合わせて、JAMなのだ。ジュン・アミ・ミサコという名前だ。こういった動きのほかにまた違ったアピール方法として、「神戸コレクション」 といって念に数回開催されるファッションショーを新たな展開としてとっている。「神戸コレクション」は、神戸のファッション文化を全国に、世界に届けた い、そんな神戸の文化、ファッションを全国の町に広めるために生まれたファッションショーなのだ。神戸発のアパレルメーカー(クイーンズコート、ビッ キー、クレイサスなど)、セレクトショップ(その一つが苦楽園に店を構えるポエシアというお店だ。日本の商品のみならず、海外のブランドも多く取り扱 う)、若いデザイナー(読者モデル達のオリジナルブランド)、などの神戸の女性に愛される国内外ブランドを招いて、2002年秋冬から、年に2回のペース で開催されている。

3. 名古屋

(1) 名古屋の主要産業
東京、大阪、横浜に次ぐ第四の都市。工業製品出荷高、名古屋港輸出 額、自動車生産高、自動車所持率、ショッピングセンターの数など日本一だ。また、自動車と並んで工業製品出荷高一位の象徴的製品、「パチンコ」のメッカ、 本拠地である。ここからも、神戸同様に他の地よりも、進展している一面が分かるだろう。
 
(2) 名古屋人の気質
基 本的に倹約し、貯蓄に励む。節約するところは節約し、使うところは使うという「ケチ」かつ「見栄っぱり」なようだ。「ルイ・ヴィトン」の名古屋店が世界で もトップクラスの売上である。ただ見栄っぱりなので、形のないものにお金を投入する気はさらさらなく、例えば「ルイ・ヴィトン」にしても、LとVが分かり やすく交差した商品以外はあまり売れていないらしい。
 
(3) 名古屋嬢
名古屋には「名古屋嬢」という呼ば れる女性達が存在している。名古屋でも神戸と同様、昔から上品、エレガント、保守的(コンサバ)を基盤としたスタイルをとった上流志向のファッションスタ イルをとっている。2000年初頭の神戸系ファッション流行と共に女性誌では名古屋のファッションスタイルにも注目をおく。女性誌では神戸のファッション を「神戸系ファッション」と名付けて取り上げたように、名古屋では名古屋のお嬢様の上品なファッションに注目をおいて、「名古屋嬢」などと名付けて取り上 げるようになる。
 
(4) 名古屋巻き
名古屋嬢のファッションと言っても、服装の基本は神戸発の神戸系 ファッションと同じだ。唯一違うのは、「髪型」である。髪型も巻髪は巻き髪だが、名古屋特有の巻き髪を生み出す。生みの親は、美容室「BLANCO南青 山」の土屋さんという人だ。その髪型の特徴は「神戸巻き」のクルクルの強めのカールに比べて、内巻きでクルクルに巻きすぎず「あくまでも自然」がポイント だそうだ。内巻きは女性の優しさを演出するらしい。

図2 (「アナウンスルーム」http://www.ctv.co.jp/announce/personal/zoom/2001/02/0109.html)

こ の名古屋嬢ブームに乗り、神戸同様、名古屋でもその特徴をアピールしようと人々は考えた。その結果、りかちゃん人形では「名古屋嬢りかちゃん」なる商品も 発売され、テレビでも、名古屋をテーマとしたドラマ「加藤家へいらっしゃい。名古屋嬢」を報道するなど、ワイドショーで度々、名古屋嬢が名古屋のキャラク ターとして、取り上げられ、注目する動きが見られた。


図3(「やねの上のかざみどりりかちゃん」http://naosaetyan.blog65.fc2.com/blog-entry-65.html)

図3は2003年秋に、名古屋松坂屋&タカラ&JJのコラボレーションで発売された第1体目だ。ネット販売では10分で完売したらしい。店頭販売では整理券が配られ、長蛇の列ができた。髪型も巻き髪をしていて、衣装は7種もあり、値段は1万円で発売されたようだ。

 

4. 現在の若者のファッション

このように、2000年初期からの神戸、名古屋のファッションスタイルを見てきたが、 時代の移り変わりと共に、ここ2年前くらいからは「海外セレブ」というハリウッドスターのファッションスタイルに注目をおきようになり、神戸系ファッショ ン、名古屋嬢ファッションといった保守的ファッションは今でもなお存在しているが、2000年初期の大ブームまでは達さなくなってきた。海外セレブとは、 ハリウッドで活躍する女性人の事を指す。例えば、若者に人気があるのは、パリス・ヒルトン、ニコール・リッチー、リンジー・ローハン、主にこの三人の ファッションが注目視されている。1人目のパリス・ヒルトンが海外セレブ注目の第1任者といっても良いだろう。彼女はおよそ1年前、大手ホテルチェーンの ヒルトンの娘で、ニッキー・ヒルトンと共に「ヒルトン姉妹」と呼ばれ、二人組みとして注目されていた。それからごく最近になり、単独で活躍するようにな り、ファッション歌手ライオネル・リッチーの養女にあたる。彼女は最近、過激なダイエットに励み、見事イメージチェンジをはかり、昔に比べどんどんと人気 上昇中スターだ。3人目、リンジー・ローハンは映画「フォーチュン・クッキー」で人気を得、健康的な肉体でここ最近絶大なる人気をはかる。彼女たちの注目 で、一気にここ数年前から、若者の間では、保守的コンサバファッションよりも、カジュアルスタイルのほうが人気である。海外メーカーのブランドが多く日本 に輸入され、海外ブランドを取り揃えたセレクトショップが増加中である。
そのセレクトショップに圧され、保守的スタイルの神戸発ブランド(クイーンズコート。VICKYなど)は、人気低下してきている。現在は海外ブランドの他、カジュアルを基調とした、日本ブランド(SLY、Moussy)といったブランドも流行中だ。

図4                     図5 

図4は、右がパリス・ヒルトン、左はニコール・リッチーだ。図5は、右がニコール・リッチー、左はリンゼイ・ローハンだ。

5. まとめ

こ のように神戸、名古屋では上流意識した、保守的なファッションスタイルが確立され、今でもなお以前よりは少なくはなったが基本的にこのようなスタイルの女 性が多い。現在の学生にもいえる事だが、「道を歩けば右も左も同じ服」をしている。確かに皆と同じような服を着れば安心感はあるが、それでは面白くない。 ファッションというのは自由なのでこのようなコンサバティブに左右されず、もっと冒険したファッションスタイルや自分独自のファッションをして楽しんで欲 しい。キレイな色を着れば、気持ちも明るくなるだろうし、人と違ったものを着れば自己流でおもしろい。神戸、名古屋の保守的なスタイルは、あまりにも固定 化しすぎていて、独自性がなく、おもしろくないファッションだと私は思う。

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